絵の種類はどのようなものがある?

ここでは絵画のジャンルごとの特徴と代表的な作品を紹介します。
絵画は、その多様性も魅力の1つです。
一般的に絵画の種類は、描く題材や技法、そして画派によって分けられます。
ここのような多彩な芸術表現の中から、特に代表的なものに焦点をあてて解説していきます。
絵画の世界は非常に奥深いもので難しそうに感じるかも知れませんが、
その分知れば知るほど楽しくなる世界なので、少しでも興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

目次

形式による絵の分類

絵の種類には、大きく分けて「原画」「版画」「ポスター」「デジタル・ジークレー」の4つがあります。
それぞれ制作方法や価値が違いますので、詳しくみていきましょう。

原画

「原画」とは、「画家本人が筆を取り制作した世界に1つだけの絵」です。この世に存在する原画はオリジナルの1点のみなので、その希少性は高く、大きな価値があります。

版画

「版画」とは、「版にインクを塗り紙に転写した絵」のことです。
同じ絵を何枚も制作できるのが大きな特徴です。
制作された作品には「エディション」という番号を振り、
複製する部数を限定して作品の価値を保証します。

ポスター

「ポスター」はオリジナルとなる絵画を紙にプリントしたものです。
市場に大量に出回っているので、原画や版画よりも入手しやすく、価格も安価なのが特徴です。

デジタル・ジークレー

イラストや写真などのデジタルデータは、ジークレーと呼ばれる技法によって高い品質で印刷することができます。
ポスターとの大きな違いは、作者自身が印刷の監修をし、
サインなどをすることで「作品としての価値」をつけることができる点です。
そのためポスターよりも単価が高くなります。

題材による絵の分類

絵画の魅力は、その表現の幅広さにあります。
絵の題材に焦点を当てると、主に風景画、静物画、肖像画、
宗教画、歴史画、風俗画の6つの大きなカテゴリに分けられます。
それでは、それぞれの題材について詳しく探っていきましょう。

風景画

風景画は、美しい風景を題材にした絵画作品です。自然の風景や建造物など、さまざまな景観が描かれており、これらの作品は観る者に自然の美しさや平和を感じさせます。
風景画の代表的な作品の1つが、クロード・モネの「睡蓮」です。
この絵は、モネが自らの庭に咲く睡蓮の池を描いたもので、
水面に浮かぶ美しい花々が、自然の穏やかな美しさを象徴しています。
・ルノワール「ポンヌフ」
・モネ「積み藁」
・ギュスターヴ「パリの通り、雨」
風景画は、美術史においても重要なジャンルであり、
自然の神秘と人間の創造力の調和を称賛する作品が数多く存在します。

静物画

静物画は、静止した自然物や人工物を対象にする絵画のジャンルで、
物の静止や静寂が美しさと豊かさを引き立てています。
このジャンルから観察者は一瞬の静けさや美しさを感じ取ることができるでしょう。
代表的な作品として、フィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」が挙げられます。
この絵は、ひまわりの花々が静かに咲いた姿を描いたもので、
色彩と筆致が魅力の一端を担い、静物画の魅力を象徴しています。
・セザンヌ「リンゴの籠」
・クララ・ペーテルス「銀色の金色のタザのある静物」

肖像画

肖像画は、人物を題材にした絵画のジャンルで、被写体の顔や姿を精緻に描写します。
肖像画も歴史的に重要なジャンルであり、人物やその個性を捉えるために芸術家たちが繰り広げた表現の幅広さが魅力です。
代表的な作品として、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」が挙げられます。
この作品は、微笑む女性の肖像画で、その微細な表情や背景の謎めいた風景が世界中の人々を魅了しています。
・ベラスケス「フェリペ4世」
・ピカソ「リーテレーズ・ワルテルの肖像画」

宗教画

宗教画は、宗教的なテーマや神話を題材にした絵画のジャンルで、
信仰と芸術が交わる作品です。
これらの作品は、神聖な物語や宗教的なアイコンを視覚的に表現し、
信仰の力強さや美しさを伝える役割を果たします。
代表的な作品は、アルブレヒト・デューラーの「四人の使徒」です。
この作品は、宗教的なテーマを中心に四人の使徒を描いており、
宗教画の中でも優れた作品として高く評価されています。
・ボッティチェリ「カステッロの受胎告知」
・ブリューゲル「バベルの塔」
・アンドレア・マンテーニャ「キリストの磔刑図」

歴史画

歴史画は、歴史的な出来事や伝説、英雄的な瞬間を題材にした絵画のジャンルで、過去の出来事を再現し、観る者に歴史の教訓や感動を伝える役割を果たします。
代表的な作品は、ラファエロ・サンティの「ガラティアの勝利」です。
この絵は、ニンフのガラテイアが神格化される場面を描いており、
歴史画の中でも美しい作品の1つとして称賛されています。
・マネ「皇帝マキシミリアンの処刑」
・ドラクロワ「民衆を導く自由の女神」
・ジャック=ルイ・ダヴィッド「皇帝ナポレオン一世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠式」

風俗画

風俗画は、日常の生活や風習を題材にした絵画のジャンルで、
その中でも人々の生活や日常風景を描くことが特徴です。
これらの作品は、時代や場所の風俗を捉え、観る者に当時の文化や環境を伝える役割を果たします。
代表的な作品として、ヨハネス・フェルメールの「牛乳を注ぐ女」が挙げられます。
この絵は、17世紀のオランダの風俗を描いており、
静かな日常の美しさと豊かさが感じられるでしょう。
・モリゾ「ダイニングルームにて」
・ブリューゲル「農家の婚礼の踊り」
・マネ「草上の昼食」

派閥による絵の分類

芸術の多様性が魅力の源であるように、絵画もまた異なる画派によって多彩なスタイルとテーマが探求されています。
画派は主に新古典主義、ロマン主義、写実派、印象派、
象徴主義、抽象派といったカテゴリに分けられ、それぞれが独自の表現方法と哲学を持っています。
ここでは、それぞれの画派の特徴と代表的な作品を紹介します。

新古典主義

新古典主義は、18世紀半ばから19世紀初めにローマを中心としてヨーロッパに広まった様式です。
フランス革命を経て、バロックやロココなど派手で誇張した表現への反動から、原点に帰って正確性や倫理観を表現することが重視されました。
歴史や神話など理性的で道徳的な題材をもとに、華美な装飾は施さず、重厚なデザインで描かれます。
新古典主義は、18世紀末から19世紀初頭にかけての絵画の重要なジャンルで、
古代ギリシャとローマの芸術や文化に敬意を表し、それを現代に再現することを目指しました。
この画派は厳格な構図、理性的な表現、そして歴史的なテーマに焦点を当てています。
代表的な作品として、ジャック=ルイ・ダヴィッドの「ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト」が挙げられます。
この絵は、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトのアルプス越えの遠征を描いており、新古典主義の特徴である理想化された英雄像が魅力です。

ロマン主義

ロマン主義は、作品に画家の思いやストーリー、スキャンダルなど感情的な要素を表現した流派です。
18世紀末から19世紀前半のヨーロッパで広く描かれました。
視覚的には、鮮やかな色彩で繊細に描かれていることが特徴的です。
神秘や理想など自由な表現と、見るものに訴えかける感情表現が大衆にも受けました。
ロマン主義の有名な画家は、ウジェーヌ・ドラクロワやテオドール・ジェリコー、ウィリアム・ターナーなどです。
ロマン主義は、18世紀後半から19世紀初頭にかけての絵画運動で、新古典主義に対立する形で台頭しました。
この画派は個人の思考、感情、幻想、そして時代の「今」を探求し、理性よりも感情を重視し、個性的で情熱的な表現を特徴としています。
ロマン主義は、美術史だけでなく文学や音楽にも影響を与え、個人の内面や情熱的な表現が芸術の中心に位置づけられました。
代表的な作品として、ウジェーヌ・ドラクロワによる「民衆を導く自由の女神」が挙げられます。
この絵画は、自由と抵抗の象徴である女神が民衆を導く情熱的な場面を描いており、
ロマン主義の特徴である情熱的な表現と個性的なテーマを示す典型的な作品とされています。

写実主義

写実主義は、思想や空想を反映せずに、
目に見えるそのままを表現しようとする主張の流派のことです。
英語でリアリズム、フランス語でレアリスムとも言われます。
美術史としては、19世紀半ばにフランスを中心に広まった美術運動のことを指します。
写実主義の有名な画家は、オノレ・ドーミエ、ジャン=フランソワ・ミレー、ギュスターヴ・クールベなどです。
写実派は、19世紀中頃にフランスを中心に現れた芸術様式で、美術や文学の分野で大きな影響力を持ちました。
このジャンルは、新古典主義やロマン主義に対抗し、現実の日常生活を客観的かつ詳細に再現することを目指しています。
従来の芸術が神話や歴史、宗教を題材にし、理想化や情緒の過剰表現が主流だったのに対し、写実派はありのままの現実を描くことに焦点を当てました。
代表的な作品として、ジャン=フランソワ・ミレーによる「落穂拾い」が挙げられます。
この作品は、農村の日常生活を描いており、農民たちが稼ぎに勤しむ姿が詳細に描かれた作品です。
写実派の特徴である客観的な描写と現実の詳細さが、この作品に鮮明に現れています。

印象派

印象派は19世紀後半のフランスで流行した芸術運動です。
クロード・モネの「印象・日の出」に始まり、
画家としては、エドゥアール・マネ、エドガー・ドガ、ピエール=オーギュスト・ルノワールなどが有名です。
風景や植物、人間をモデルとし、動きが感じられるポーズや構図で、多くの鮮やかな色彩を用いて描かれます。
存在するものを見たままに描き写すのではなく、そこから感じられる印象を表現する流派です。
印象派は、美術史において特に印象を重視し、視覚的に感じたままの印象を描くことに焦点を当てた画派です。
このジャンルは、従来の絵画の慣習に挑戦し、新しい視点から風景や日常の光景を捉えました。
代表的な作品として、オーギュスト・ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」が挙げられます。
この絵は、明るく陽気な舞踏会の場面を描写し、印象派の特徴である光の効果と色彩の使用が際立っています。

象徴主義

象徴主義は、19世紀後半にフランスとベルギーで始まり、
ヨーロッパ全域やロシアに広がった芸術運動で、文学、音楽、美術など多くの分野に影響を及ぼしました。
この運動は、ジャン・モレアスによって1886年に発表された「象徴主義宣言」に由来しています。
19世紀後半は科学技術の進歩によって大きな変革が起き、物質主義や都市の享楽主義が隆盛を極める一方で、
象徴主義の芸術家たちはこれに反発し、人間の内面や精神世界に焦点を当てました。
代表的な作品として、グスタフ・クリムトによる「接吻」が挙げられます。
この絵は、愛と情熱を象徴的に描写し、
象徴主義の特徴である神話や精神的なテーマを探求した作品として知られています。

抽象派

抽象派は1910年代頃に広まり始めた流派です。
ロシア出身の画家であるカンディンスキーやモンドリアンが創始者と言われています。
抽象派が用いるのは、存在するものや風景を正確に描くのではなく、
丸・三角・四角・線など、マークや記号と分類されるものに近い模様で表現する画法です。
抽象画にはピカソが始めた手法であるキュビズムも含まれ、作者の意図や表現を理解することが難しい絵画でもあります。
抽象派は、美術史において非常に革新的な画派で、実際に存在しないものやアーティスト独自の世界観で表現された絵画が特徴です。
このジャンルは、再現的な描写にこだわらず、幾何学的で絵の具が跳ねたようなタッチや色彩の大胆な使い方など、多様なスタイルとテクニックが用いられています。
代表的な作品として、ヴァシリー・カンディンスキーの「黄色・赤・青」が挙げられます。
この絵画は、具体的な対象や形態を持たず、カンディンスキーの内面の感情や精神的な状態を表現したもので、
抽象派の特徴的な作品の1つです。

技法による絵の分類

絵画には様々な表現技法がありますが、どの技法を選ぶかで作品の個性が決まってきます。
ここでは、「油彩」「アクリル」「水彩」「日本画」「水墨画」「パステル、
クレヨン・鉛筆・ペン」「リトグラフ・版画」「コラージュ」「ミクストメディア」「フルイドアート」
「アルコールインク」「フレスコ画」「テンペラ画」を取り上げます。
それぞれの内容と代表作を詳しく見ていきましょう。

油彩画(油画・油絵)

油絵は、絵画の技法の1つで、特に油絵の具を用いて描かれる作品のことです。
代表的な作品として、ヨハネス・フェルメールによる「真珠の耳飾りの少女」があります。
この作品は、油画の典型的な特徴である光沢と質感を活かしていて、リアルな肖像画を表現した優れた作品の1つです。
・モネ「睡蓮」
・ゴッホ「ひまわり」
・ルノワール「春のブーケ(春の花)」

アクリル画

アクリル画は、アクリル絵の具を用いて描かれる絵画の技法で、平面的な作品から立体的な彫刻まで、多くのアート作品で使用されています。
代表的な作品は、アンディ・ウォーホルの「マリリン二連画」です。
アクリル画はその多様性と応用の幅広さにより、アーティストや愛好者に愛されています。
・草間彌生「かぼちゃ」
・村上隆「フラワーズ・フラワーズ・フラワーズ」
・アンディ・ウォーホル「マリリン・モンロー」

水彩画(ガッシュ)

水彩画(ガッシュ画)は、水彩絵具を用いて描かれる絵画の形式です。
代表的な作品として、サミュエル・パーマーの「夜の祈祷の後」が挙げられます。
水彩画は、水を溶剤として使用する技法で、特に西洋絵画によく使用されています。
水彩絵具は水に溶けやすい特性を持っていて、
アーティストはこの特徴を活かして、色の透明感や深みを調節し、ぼかし効果を生み出しました。
そのため、水彩画は多彩な方法で表現されていて、その秘奥性が魅力です。
・ターナー「トラファルガーの戦い」
・デューラー「野ウサギ」
・サージェント「ゴンドラでの昼寝」

日本画

日本画は、独自の技法と材料を使用し、日本独自の美的価値観を体現する絵画のスタイルです。
この技法は、墨や岩絵具、和紙、絹、漆喰など、
特有の絵具と素材を使用しており、「The 日本」というような雰囲気を感じ取れます。
代表的な作品として、竹内栖鳳の「斑猫」が挙げられます。
この作品は、典型的な日本画と言っても過言ではなく、繊細な線と深い色調、和紙の質感が特徴です。
日本画の多くは、情景や風景が平面的に描かれ、繊細に表現されます。
・伊藤若冲「菊花流水図」
・伊東深水「吹雪」
・森山知己「牡丹」

水墨画

水墨画は、墨と水を使用して描かれる伝統的な東洋の絵画技法です。
代表的な作品として、雪舟等楊の「天橋立図」が挙げられます。
水墨画は、主に東アジアの文化で発展し、その特徴的なスタイルと哲学的なアプローチが特徴です。
この技法は、墨を水で薄めたり濃縮したりして使い、筆や墨汁を用いて略筆のスタイルで描かれます。
水墨画の魅力は、シンプルでありながら力強い線や、墨の質感によって表現される奥深い情感にあります。

パステル

パステルは、顔料を粘着剤で固めたチョークのような画材で描く技法です。
紙に描いた後に指で伸ばしたりぼかしたりすることで柔らかい表現ができます。
代表作はエドガー・ドガの「休息する二人の踊り子」です。
ドガは素早いデッサンと色彩表現を両立するためにパステルを用いて、踊り子を多く描きました。

クレヨン・鉛筆・ペン

これらの画材は小学校の図工の時間に使ったことがある人も多いのではないでしょうか。
クレヨンの代表作は小磯良平の「婦人像」です。
油絵風の質感もありながら、婦人の肌の血色感が繊細に表現されている作品です。
鉛筆の代表的な作品は木下晋の「祈りの想い」です。
手の皺から皮膚の柔らかさまで、鉛筆の持つ幅広いトーンで繊細に表現されています。
ペンの代表作としては池田学の「方舟」が挙げられます。
建造物の塊でできた方舟が緻密に描写されています。
これらは身近な画材ですが、技法のひとつとして確立されています。
・Joseph Clement Coll「A LEGACY IN LINE」
・伊藤彦造「忠臣蔵」
・光宗薫「刑天」

リトグラフ・版画

版画は版に描いた原画を紙に転写する技法です。
なかでもリトグラフは石板や金属板の版に描いた原画をそっくりそのまま紙に再現することができます。
作品を作るための工程が多く、計画性が大事になる手法です。
代表作は東山魁夷の「白馬の森」です。
ひっそりと佇む白馬の様子が幻想的なブルーの森の中に優しく表現されています。
・歌川国芳「相馬の古内裏」
・葛飾北斎「富嶽三十六景」
・棟方志功「門世の柵」

シルクスクリーン

シルクスクリーンは、版画の一種で、特定のデザインを網目の細かいスクリーンを通して転写する印刷技法です。
シルクスクリーンの最大の特徴は、鮮やかで均一な色彩を高精度に再現できる点にあります。
網目を通してインクを押し出すことで、クリアで鮮明な色の表現が可能となります。
また、多色刷りも容易で、複雑なデザインや多彩な色合いの作品も制作できます。
アンディ・ウォーホルなどのアーティストがポップアートの中で使用し、その独特の表現力で広く知られるようになりました。
耐久性が高く、大量生産にも適しているため、商業印刷やアートの両方で人気の技法となっています。
有名な作品
・アンディ・ウォーホル「キャンベルスープ缶」
・草間彌生「かぼちゃ」
・村上隆「flower」

コラージュ

コラージュは、写真や印刷物などの既存のイメージを切り貼りして新たなイメージを作る技法です。
一見なんの繋がりもない素材を寄せ集めて1枚の紙の上に表現することで、新たな調和が生まれるところにコラージュの面白さがあります。
代表作はラウル・ハウスマンの「美術批評家」です。
人物の写真に落書きのような素材を組み合わせることによって、風刺的な表現をしています。
・リチャード・ハミルトン「一体何が今日の家庭をこれほどに変え、魅力あるものにしているのか」
・河村康輔「no title」

ミクストメディア

ミクストメディアは、2種類以上の素材や技法を掛け合わせて表現する技法です。
絵画のみならず、現代アートの領域でも多く用いられる手法です。
代表的な作品はパブロ・ピカソの「籐椅子のある静物画」です。
この作品では、キャンバスにオイルクロス、絵具、縄といった複数の素材が使われており、最も古いミクストメディアの作品だと言われています。

フルイドアート

「フルイド」は「流動的な」という意味で、液状の絵具をキャンバスなどに垂らし、それを傾けて動かすことで、抽象的な表現ができる技法です。
手軽にアートを作れることから、初心者に人気の手法です。
代表作はSatomi Tanjiの「Let it flow」です。
独特の絵具の混ざり具合や、流れるような動きには、偶然による面白さがあります。

アルコールインク

アルコール成分を含むインクを使った技法です。
紙の上にインクを垂らし、ドライヤーなどで風を当てることによって動かしていきます。
エタノールを使うことによってインクの濃淡を調節したり、にじみの表情を作ることができます。
代表的な作品はAstuary Art by Marissa Reckerの「Awakening(めざめ)」です。
ブルーのインクの濃淡が美しく、抽象的でインスピレーションを掻き立てられる作品です。

フレスコ画

フレスコ画は壁画の一形態です。主に壁面に漆喰(しっくい)を塗布し、漆喰が乾いている間に水性の絵具を用いて絵を描く、唯一無二の絵画技法です。
代表的な作品として、ミケランジェロ・ブオナローティによる「最後の審判」が挙げられます。
フレスコ画はその独自の技法と耐久性から、美術史上で重要な位置を占めています。

テンペラ画

テンペラ画は、乳化作用を持つ物質を絵具に添加することで制作される絵画の技法です。
代表的な作品として、レオナルド・ダ・ヴィンチによる「最後の晩餐」が挙げられます。
テンペラ画は特有の特徴と美しさによって芸術史上で重要な地位を確立しています。
テンペラ画の最大の特徴は、絵具を乳化させることで鮮やかな色彩を実現できる点です。
この乳化作用により、鮮やかな絵具の色が長年持続し、経年劣化による色落ちがほとんど発生しません。
この特性により、テンペラ画は長期間にわたって美しい色合いを保つことが可能で、芸術作品としての耐久性を高めています。